農業所得者の確定申告~家事消費~

福井の斎藤公認会計士事務所の斎藤です。

今回は、農業事業者が確定申告をするにあたって注意すべき点として、収入側のことについて触れたいと思います。


所得税法第39条に以下の通り、規定されています。

「居住者がたな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)を家事のために消費した場合又は山林を伐採して家事のために消費した場合には、その消費した時におけるこれらの資産の価額に相当する金額は、その者のその消費した日の属する年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。」


すなわち、農業事業者の方が、自分たちで作ったお米をJAなどにすべて販売せず、一部自分たちで食べているような場合において、当該自分たちが食べている分について、農業所得の計算において収入金額に含めることが必要になります。


また、当該収入金額は、お米の消費量×通常他に販売する価額で計算することになります。


正確なお米の自家消費量を計算することは難しいかもしれませんが、自家消費があるのに収入金額にまったく計上しないというのは、税務上問題がありますので、きちんと法律に基づいた対応が必要となります。

さらに、当該自家消費を収入に計上することにより、農業の収入金額がより経営実態に近づくことになりますので、農業事業者の農業所得の実態を客観的に把握していくことが可能となります。


そのため、農業事業者ご自身の農業経営の状況を正確に把握し、改善策を検討するうえでも、当該自家消費の収入計上は適切に実施していくことが必要です。



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コメント: 12
  • #1

    ケンジ (土曜日, 28 2月 2015 07:43)

    農作物を販売や農協への出荷を一切せず、自家消費のみ場合は、事業者でもなく、棚卸資産にも該当しないので申告は不要ですね。

  • #2

    公認会計士 斎藤栄慶 (土曜日, 28 2月 2015 18:39)

    ケンジ様
    コメントありがとうございます。
    ケンジ様のご認識の通り、農産物を農協等へ外部販売をしていないのであれば、確定申告はしなくても問題ありません。

  • #3

    くにちゃん (土曜日, 19 9月 2020 08:45)

    よろしくお願いいたします。農家の家事消費についてです。稲作農家でJAに販売しています。これまで全収量のうちJAに出荷したものを販売金額、飯米で残したものを家事消費とし、合わせて収入金額として申告していました。よく考えてみると飯米は次年度の収穫まで食べる分なので今年度の家事消費には当たらないのではないかと思うようになりました。意見をお聞かせください。

  • #4

    斎藤 栄慶 (土曜日, 19 9月 2020 19:52)

    くにちゃん様
    コメントありがとうございます。農業の収入の計上基準は収穫基準となっております。
    そのため、簡便的には、期首の在庫と期末の在庫との差額を収入金額に調整することとなりますので、期首と期末がほぼ同じような在庫数が残っているのであれば、結果としての収入金額に影響はないかと考えられます。
    また、家事消費につきましては、以下の国税庁のサイトにありますように、70%での売上計上も認められることとなりますが、もし、ご検討がまだのようでしたら、ご参考いただければと思います。
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/14/03.htm

  • #5

    前田幸男 (土曜日, 20 2月 2021 11:02)

    給与所得があり、農業(水稲)は自家消費のみで赤字です。このケースで農業分を含めて確定申告は可能ですか。要は給与所得分を減額が目的です。

  • #6

    斎藤 栄慶 (月曜日, 22 2月 2021 07:54)

    前田様

    コメントありがとうございます。
    自家消費のみの場合は、事業所得として取り扱うことはできないと考えます。
    事業所得として認められる場合の、事業としての定義については、国税庁のサイトに以下の通り定義されております。

    →「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。例えば、商店が販売用の商品を売った場合や、運送業者が運送サービスを提供して対価を受け取るような場合が典型的なものです。
     なお、事業活動の一環として又はこれに関連して行われる取引も課税対象となります。例えば、商品の配達用に使用していたトラックを売ったときのように、事業に使用していた自動車、機械、建物などの事業用資産を売った場合も、事業として行う取引になります。
     しかし、個人事業者が事業用でない自家用車やテレビなどの生活用に使用していた資産を売った場合には、事業として行う取引とはなりませんので、消費税は課税されません。

    そのため、自家消費のみだけであれば、事業として行われているわけではないことから、当該赤字を損益通算することは認められないと考えます。
    また、金額的に少額でも外部への売上があったとしても、事業所得ではなく、雑所得として認定され、結果的に損益通算することができない状況も考えられます。
    営利目的で、対価を得て、継続的に販売活動を実施している状況にならない限りは、事業所得として、給与所得との損益通算は難しいとお考えいただく必要があると考えております。

  • #7

    前田 幸男 (月曜日, 22 2月 2021 09:56)

    ありがとうございました。少額の売上とは、金額的なもの、若しくは、自家消費との割合的な基準、目安なるものがあるのでしょうか?

  • #8

    斎藤 栄慶 (月曜日, 22 2月 2021 10:08)

    明確な目安はございませんので、取引金額、人的・設備の状況などの事業の実態に基づいて判断していくことが必要となります。

  • #9

    前田 幸男 (月曜日, 22 2月 2021 13:56)

    ありがとうございました。

  • #10

    前田 幸男 (月曜日, 22 2月 2021 14:17)

    何回も申し訳ございません。自家消費のみの場合は、事業所得として取り扱うことはできないとすれば、雑収入(その他)、雑所得(その他)でマイナス計上してもよいのでしょうか?

  • #11

    斎藤 栄慶 (月曜日, 22 2月 2021 16:35)

    事業所得と認められない場合は、雑所得として申告することもできますが(事業とはと認められない規模での所得がある場合など)、雑所得の赤字は、給与所得と損益通算はできませんので、ご注意ください。

  • #12

    前田 幸男 (月曜日, 22 2月 2021 16:49)

    ありがとうございました。注意します。